耳鼻咽喉科・頭頸部外科73巻3号

2001年03月発行

原著

Monopodal stapesであった先天性伝音難聴の1症例

著者： 尾関英徳¹⁴ 伊藤健² 石本晋一² 蝦原康宏³ 深谷卓¹

所属機関： ¹NTT東日本関東病院耳鼻咽喉科 ²東京大学医学部耳鼻咽喉科学教室 ³公立昭和病院耳鼻咽喉科 ⁴現：東京大学医学部附属病院分院耳鼻咽喉科

ページ範囲：P.223 - P.227

　はじめに
　先天性アブミ骨奇形には，その完全な欠損から，形態は正常であるが底板の固着があるものまで種々のものが知られている^1〜5）。
　その中でmonopodal stapesは，アブミ骨脚が1本の脚に融合したままの状態の奇形である。比較的稀な耳小骨奇形であるとされており，本邦では本症のみを独立して取り上げ検討した報告は少ない^6）。