文献詳細
原著
双胎の1例にみられた内耳奇形—聴覚・平衡覚機能の比較
著者: 牛尾宗貴13 加我君孝1 黄麗輝1 内藤雪2
所属機関: 1東京大学医学部耳鼻咽喉科学教室 2武蔵野赤十字病院耳鼻咽喉科 3現:東京警察病院耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.228 - P.232
文献概要
内耳は胎生期に外胚葉性の耳胞より形成されるが1,2),その発育過程において種々の障害を受けることにより奇形を呈すると考えられている。先天性難聴を伴う内耳奇形の中では特にMondini奇形の頻度が高いが3,4),今回われわれが経験した症例の左内耳奇形は従来の型には分類不能であった。本症例は双胎の1児であり,右水平半規管が低形成で左水平半規管は無形成であるにもかかわらず,一方向減衰回転検査で平均よりやや少ない眼振数と眼振持続時間を示すにとどまった。内耳奇形のない双胎の他方と比較しつつ,聴覚および平衡覚機能を評価,検討したので報告する。
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