文献詳細
連載 手術・手技シリーズ
④鼻骨骨折の整復
著者: 寺田修久1 野村知弘1 笹村佳美1 武藤博之1 沼田勉1 今野昭義1 白鳥浩二2
所属機関: 1千葉大学医学部耳鼻咽喉科学教室 2仙北組合総合病院
ページ範囲:P.321 - P.327
文献概要
鼻骨骨折は顔面骨外傷の中で最も頻度が高く,日常臨床でしばしば遭遇する外傷である。鼻骨骨折が高頻度に起こる原因として,顔面中央部に突出していることのほか,外力に対する強度が弱い構造上の理由もある。ちなみに,鼻骨骨折は10〜35kgの外力で生じるが,眼窩,頬骨骨折では,90〜200kgの外力が必要となる1,2)。その整復は比較的容易と思われがちであるが,機能の回復はもとより,整容的にも十分な配慮が必要であり,的確な診断と治療を要求される。また,鼻骨骨折と同時に上顎骨,眼窩底・眼窩側壁,頭蓋底,頬骨,視束管など他部位の骨折を見逃さないようにすることも肝要である。特に通常診療時間以外に,多量の出血を伴つて救急外来に来院した場合,迅速かつ的確に骨折部位,機能障害の有無,整復の必要性の有無,整復法を判断するのにはかなりの熟練を要する。
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