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特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域の新しい器械,器具 Ⅰ.ナビゲーションシステム
2)鼻科手術
著者: 鴻信義1
所属機関: 1東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.15 - P.21
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鼻・副鼻腔は,解剖学的に複雑な構造を有し,個体差や左右差などバリエーションが多く,なおかつ眼窩,前頭蓋,視神経などの重要な周辺臓器とを隔てる骨壁が非常に薄い。例えば,節骨頭蓋内壁の厚さは平均で150μmであり,最も薄いところではわずか30〜100μmである1)。従来行われていた額帯鏡の光と裸眼による副鼻腔手術は,暗くて狭い視野の中,しかも死角の多い中での鉗子操作を余儀なくされ,視器障害や頭蓋内合併症など重篤な副損傷も決して少なくなかった。
1980年代より副鼻腔手術に硬性内視鏡が導入され(内視鏡下鼻内手術:以下,ESSと略),拡大明視下での手術操作が可能となって以来,副損傷の発生頻度は減少してきている。しかし,現在でもなお眼窩内出血,視力障害,あるいは髄液漏といった重篤な手術時副損傷の報告がみられる2,3)。
鼻・副鼻腔は,解剖学的に複雑な構造を有し,個体差や左右差などバリエーションが多く,なおかつ眼窩,前頭蓋,視神経などの重要な周辺臓器とを隔てる骨壁が非常に薄い。例えば,節骨頭蓋内壁の厚さは平均で150μmであり,最も薄いところではわずか30〜100μmである1)。従来行われていた額帯鏡の光と裸眼による副鼻腔手術は,暗くて狭い視野の中,しかも死角の多い中での鉗子操作を余儀なくされ,視器障害や頭蓋内合併症など重篤な副損傷も決して少なくなかった。
1980年代より副鼻腔手術に硬性内視鏡が導入され(内視鏡下鼻内手術:以下,ESSと略),拡大明視下での手術操作が可能となって以来,副損傷の発生頻度は減少してきている。しかし,現在でもなお眼窩内出血,視力障害,あるいは髄液漏といった重篤な手術時副損傷の報告がみられる2,3)。
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