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特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域の新しい器械,器具 Ⅵ.その他の器械
2.デジタル補聴器
著者: 細井裕司1 西村忠己1 安田大栄1 乾健1 小山真司1 蔵野晃治1
所属機関: 1奈良県立医科大学耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.141 - P.146
文献購入ページに移動近年,時計や各種測定器でデジタル表示が一般的となり,日常生活でデジタルという言葉が頻繁に用いられるようになった。Digitalには「指の,指で行う,数字で表示する,数字で計算する」などの意味があり,これに対する言葉としてのana-logには「類似物の,連続量を連続量として扱う」などの意味がある。音は連続した小さい気圧の変化であるが,このように連続している信号をアナログ信号という。デジタル信号とはこのようなアナログ信号を一定の時間間隔で離散的に測定した不連続な信号のことである。信号をデジタル化することにより,情報の加工,保存が容易になる。
補聴器は近年大幅な進歩を遂げたが,開発の方向はデジタル化,ノンリニア化,マルチメモリ化,多チャンネル化,小型化などである1)。特にデジタル技術の補聴器への応用が急速に進み,従来のアナログ補聴器では不可能であった処理が可能になるとともに小型化も図られ,デジタル補聴器で外耳道の中に完全に入ってしまうCIC (completelyin the canal)と呼ばれるタイプも登場した。図1に示した補聴器は箱形,耳かけ形,挿耳形補聴器であるが,いずれも信号処理をデジタルで行う補聴器である。
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