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原著
結核性中耳炎の1症例
著者: 木内庸雄1 池田晴人1 入船盛弘1 益田典幸2 菊井正紀3
所属機関: 1大阪府立羽曳野病院耳鼻咽喉科 2大阪府立羽曳野病院呼吸器内科 3大阪府立羽曳野病院病理科
ページ範囲:P.395 - P.399
文献購入ページに移動わが国では,それまで順調に減少していた結核の罹患率が1997年に増加に転じた。集団感染や院内感染の報告が相次ぐ中で,つつに1999年7月に厚生省が結核非常事態宣言を出すに至った。また,INH(iso-nicotinic acid hydrazide)とRFP(rifampicin)に対して同時に耐性を示し,通常の抗結核薬治療では治療困難な,いわゆる多剤耐性結核が報告され,新たな対策が必要とされている。
今回,われわれはRFP耐性結核菌による肺結核の患者で,呼吸器症状の発症する以前に耳症状が出現した症例を経験した。診断に苦慮したが,最終的には結核性中耳炎と確定診断して,保存的方法で耳漏を制御し得たので,若干の文献的考察を加えて報告する。
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