文献詳細
原著
嚥下困難を主訴とした延髄梗塞の1例
著者: 結縁晃治1 赤木博文1 西﨑和則1 甲平一郎2
所属機関: 1岡山大学医学部耳鼻咽喉科学教室 2岡山大学医学部神経内科学教室
ページ範囲:P.449 - P.451
文献概要
嚥下困難は,咽喉頭や食道の炎症,腫瘍などの器質的な疾患で起きることも多いが,支配神経障害による咽喉頭筋群の機能的な障害によって起きることも少なくない1,2)。
機能的な障害は,多発性の末梢神経炎や脳幹部の障害が主な原因となる。後者は他の広汎かつ重篤な中枢神経症状を伴うことが多いが,随伴症状が軽微であれば見過ごされて末梢神経障害と誤診する可能性もある。
今回,嚥下困難を主訴とし,他の神経症状が軽微なため患者自身が自覚しておらず,しかも前医での画像診断で異常なしとされたため,最初多発性脳神経炎を疑った延髄梗塞の1例を経験したので報告する。
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