文献詳細
原著
高齢で発症した非典型的Cogan症候群の1例の聴力変動とVEMP
著者: 石橋康子1 菅澤恵子2 室伏利久2
所属機関: 1河北総合病院耳鼻咽喉科 2東京大学医学部耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.529 - P.532
文献概要
Cogan症候群は,1949年に眼科医Coganによって非梅毒性実質性角膜炎と内耳障害をきたす疾患として報告された1)。その後,100例以上の症例が報告されている2)。発症年齢は2〜60歳と幅広いが3),平均30歳前後と比較的若年層に多い2)。また,症状が局所にとどまるものから,全身症状の強いものまで含まれており,原因は不明だが血管炎による症状であるといわれている4)。治療としては,眼症状に対しては副腎皮質ホルモンの局所投与がなされており,これにより改善が期待される。内耳障害に対しては副腎皮質ホルモンや利尿剤などが投与されることが多いが5),感音難聴の予後は一般的には不良といわれている2)。
1980年にHaynesら2)によって,Cogan症候群の分類が提唱された。これによると,Cogan症候群の中で,眼症状が実質性角膜炎のみのものを典型的Cogan症候群,他の眼症状をもつ場合を非典型的Cogan症候群としている。
今回われわれは,非典型的Cogan症候群と思われる症例で,高齢で発症した1例を経験したので報告する。
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