文献詳細
原著
抜歯後発症した破傷風の1症例
著者: 五十嵐良和1 中川肇2 渡辺行雄3
所属機関: 1新潟県厚生連上越総合病院耳鼻咽喉科 2富山医科薬科大学医療情報部 3富山医科薬科大学医学部耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.537 - P.539
文献概要
破傷風は,不潔な傷から体内に侵入した破傷風菌Clostridium telaniが外毒素tetanospasminを放出し,横紋筋の痙攣を生じる致死率の高い疾患である1)。外傷の既往と全身の痙攣症状が認められれば診断は容易であるが,外傷を伴わない場合や部分的な症状のみ生じる場合もあり,この際に診断をつけることは難しい2,3)。一方,近年の症例数激減4)に伴い,破傷風に関する経験や情報を得る機会は極端に減っている。
今回,外傷がなく抜歯後に発症し,診断に苦慮した破傷風症例を経験したので,文献的考察を加えて報告する。
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