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原著
アミラーゼ値がマーカーとなった耳下腺腺房細胞癌の2症例
著者: 望月義也1 熊川孝三1 武田英彦1 武藤奈緒子1 高橋直一1 西田聡1 菊田周1 山根雅昭1 滋賀秀壮2 松下央3
所属機関: 1虎の門病院耳鼻咽喉科 2埼玉協同病院耳鼻咽喉科 3虎の門病院病理部
ページ範囲:P.542 - P.546
文献購入ページに移動腺房細胞癌(acinic cell carcinoma)は唾液腺原発の腫瘍である。本邦における発生頻度は,奥田ら1)の集計によると耳下腺腫瘍全体で約1.5%,悪性の耳下腺腫瘍全体としてもわずかに7%で,粘表皮癌,腺癌,多形腺腫の悪性例,扁平上皮癌,腺様嚢胞癌に次いで6番目であった。発生頻度が少ないため,その性質や臨床的特徴はあまり知られていない。
この腫瘍は当初良性腫瘍として取り扱われ,日本頭頸部腫瘍取扱い規約2)においても大多数の症例が適切な治療により治癒可能であることから,癌腫(carcinoma)としてではなく腫瘍(tumor)として取り扱うとしている。しかし,この組織型は再発,遠隔転移を生じることから,Hoffmanら3)は臨床的には悪性の潜在能をもつ癌腫として取り扱うべきであると述べた。したがって,この腫瘍の特徴を理解したうえで診断を行い,経過観察していく必要がある。
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