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原著
顔面神経麻痺を契機に発見された肝細胞癌側頭骨転移の1例
著者: 齋藤寛1 盛川宏1 藤沢勉1 中島逸男1 浅賀英人1 吉田博一1 谷垣内由之1 平林秀樹1 馬場廣太郎1
所属機関: 1獨協医科大学耳鼻咽喉科気管食道科学教室
ページ範囲:P.589 - P.592
文献購入ページに移動われわれ耳鼻咽喉科医の日常診療において,末梢性顔面神経麻痺は比較的多く遭遇する疾患であり,その多くはBell麻痺,Hunt症候群である。しかし,少数例ではあるものの腫瘍性病変による顔面神経麻痺症例も報告されており,その割合は全末梢性顔面神経麻痺の5〜10%と報告されている1〜3)。
腫瘍性病変による顔面神経麻痺は,腫瘍の浸潤部位により発症形態が異なるため,診断に苦慮することも少なくない。
今回われわれは,当初はBell麻痺と考え加療したが治療に無反応で,血液検査および画像診断から肝細胞癌の側頭骨転移性病変による末梢性顔面神経麻痺と診断し得た症例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する。
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