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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科74巻11号

2002年10月発行

特集 小児の人工内耳

2.人工内耳の機器の選択

著者: 久保武1 井脇貴子1

所属機関: 1大阪大学大学院医学系研究科/耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.754 - P.758

文献概要

 はじめに
 2001年の統計では,世界の人工内耳埋め込み人口は約3万5千人であるが,このうち,コクレア社のものが全体の約72%,アドバンスバイオニクス社が約16%,メドエル社が約11%のシェアをもっている。近年の人工内耳の普及は目覚ましく,国内においても複数の機種が保険適用となっており,耳掛け型(BTE)スピーチプロセッサーの出現,複数のマップが保存できる,音声コード化法の選択ができる,バックテレメトリーが備わっているなど多くの進歩がみられるようになった。これらの改善に伴って言語聴取能の向上も期待されている。
 現在最も普及しているコクレア社の人工内耳は,メルボルン大学のClarkら1)が1970年代にオーストラリア政府の援助を得てコクレア社と22チャンネルの人工内耳を共同開発したもので,これは今日最新のCI24として普及している。他方,米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のSchindlerらは,同時期に多チャンネル人工内耳をアドバンスバイオニクス社と共同で始めた2))。同社のクラリオン人工内耳は,1991年にFDAの承認を得,2000年4月より本邦においてもCLARION S-シリーズが保険適用となった。また,オーストリアにあるメドエル社も2001年9月に米国FDAの承認を得ており,この社の製品であるCOMBI 40+が日本市場に参入してくる日も近い。このように人工内耳機種の選択肢が増えてきたことは,聴取能のみならず装用性の改善にもつながるものと思われる。
 本稿では,人工内耳の機種の相違に重点をおい(て解説する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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