icon fsr

文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科74巻11号

2002年10月発行

特集 小児の人工内耳

4.人工内耳による構音獲得

著者: 河野淳1

所属機関: 1東京医科大学耳鼻咽喉科学教室

ページ範囲:P.768 - P.775

文献概要

 はじめに
 ヒトにおける音声獲得は脳の成長に伴うもので,通常1〜12歳頃になされ(図1),それを含めた言語行動はヒトのspecies specific (生物種特異性の行動)1)であり,ヒトのみに固有の準備状態(readimess)の基盤があって初めて起こるものである。音声獲得を考える場合に重要なことは,敏感期(most sensitivity period)や臨界期(criticalperiod)が存在するので,適切な時期に刷り込み(imprinting)が必要不可欠であることである。
 人工内耳は高度難聴者に対しての治療法として確立されたもので,耳鼻咽喉科医にとって日常診療の中で一般化してきたといえる。現在では,単に音声を聞き取らせるという聴覚補償のみではなく,特に先天性の高度難聴者や言語習得前の早期失聴小児では,音声言語を獲得させる道具でもある。一般に聴覚補償ができない限り,意味ある言語音を発声することはできない。構音器官を用いて語音を産生する過程を「構音」といい,言語的情報としては韻律的特徴(prosodic feature)・超分節的特徴(supra-segmental)に対して,音韻的特徴(phonemic feature)・分節的特徴(segmentalfeature)として論じられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら