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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科74巻12号

2002年11月発行

特集 急性感音難聴

4.外リンパ瘻

著者: 小林一女1

所属機関: 1昭和大学医学部耳鼻咽喉科学教室

ページ範囲:P.851 - P.854

文献概要

 はじめに
 急性に発症する感音難聴,めまいの原因疾患の1つに外リンパ瘻がある。外リンパ瘻は広義には外リンパ腔と中耳腔の間に交通ができ,外リンパが中耳腔に漏出する状態である。漏出部位は主に前庭窓あるいは蝸牛窓または両者であるが,fis-sula ante fenestram,Hyrtl's fissureなども考慮されている。原因には先天奇形,アブミ骨手術,頭部外傷,梅毒,気圧外傷,特発性などがある。厚生省特定疾患急性高度難聴調査研究班による診断基準1)(表1)では,手術,内視鏡などにより外リンパ,あるいは髄液の漏出を確認できたもの,瘻孔が確認できたものを確実例と定義されている。しかし,実際に試験的鼓室開放術や内視鏡による観察を行っても,その際に必ずしも瘻孔やリンパの漏出を確認できるとは限らない。外リンパ瘻は内耳の病変部位,程度により様々な症状を呈する。瘻孔部位がたとえ閉鎖しても,内耳に病変があれば症状は消失しない2)。またβ2-transferrinを測定した報告もあるが3),陽性でない場合も外リンパ瘻を否定することはできない。したがって奇形,外傷,アブミ骨手術後など比較的原因の明らかな外リンパ瘻以外の,いわゆる特発性外リンパ瘻の診断は臨床症状,所見から行われることが多い。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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