icon fsr

文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科74巻12号

2002年11月発行

特集 急性感音難聴

5.ムンプス難聴

著者: 福田諭1

所属機関: 1北海道大学大学院医学研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科学分野

ページ範囲:P.856 - P.861

文献概要

 I.ムンプスについて
 1.概念・病因1,2)
 ムンプスは「流行性耳下腺炎」,「おたふく風邪」とも呼ばれる急性ウイルス性伝染性疾患である。原因はムンプスウイルスで,ヒポクラテスの時代より,耳から頬部にかけての腫脹を認め,さらに睾丸の腫脹を伴う疾患であることが記載されている。1934年に本疾患がウイルスによって起こることが証明され,このウイルスはパラミキソウイルス群に属するRNAウイルスである。血清型は1つでヒトのみが感染する。
 感染形式はヒトキャリアよりの飛沫などによる直接接触感染で,ウイルスは呼吸器上皮細胞に侵入し,鼻咽頭粘膜上皮で一次増殖し,次いで所属リンパ節でさらに増殖してウイルス血症を起こし,全身の易感受性の臓器に感染が拡大する。易感受性の臓器としては腺組織と中枢神経系が挙げられ,腺組織としては唾液腺,膵臓,睾丸,副睾丸,卵巣などが,中枢神経系の1つに内耳(蝸牛,前庭)が挙げられる。年長児や成人では症状が強いとされる。ウイルスは唾液,脳脊髄液,血液,尿から分離される。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら