icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科74巻3号

2002年03月発行

雑誌目次

目でみる耳鼻咽喉科

頸部神経鞘腫の1症例

著者: 岡本孝 ,   高橋壽彦 ,   善浪弘善 ,   加瀬康弘 ,   飯沼壽孝

ページ範囲:P.172 - P.173

 副咽頭間隙に生じる腫瘍には神経原性,唾液腺由来,リンパ組織由来などがあり1),その中でも神経鞘腫は比較的頻度が高い。
 症例:57歳女性。

Current Article

唾液腺疾患の多彩な病理像

著者: 吉原俊雄

ページ範囲:P.175 - P.184

 はじめに
 唾液腺腫瘍の病理組織像は極めて多彩であり,各腫瘍の臨床経過,細胞の形態,免疫組織学的特徴などこれまで数多くの研究がなされている。組織の多彩さから病理診断の困難なものでは,病理医によって意見が異なることもあり,しばしば術後の治療方針の選択に苦慮する。また,1972年のWHO分類以後,1991年に新たに改訂された分類は表1のごとくであり,研究サイドからは極めて興味ある分類である一方,実際に治療に携わる臨床医にとってはやや詳細に過ぎる感があるのも否めない。
 これまで唾液腺腫瘍の形態学的研究は,免疫組織学や電子顕微鏡(以下,電顕と略)の発展とともに既に多くの報告がみられ,診断の一助となってきた。
 本稿では,筆者がこれまで診断,手術に当たった症例の電顕像や報告例を呈示しながら,唾液腺腫瘍の病理像の多彩さを示したい。さらに,腫瘍のみならず唾液腺腫脹をきたす疾患群の臨床像とその組織像について,特に微細形態学の面からも解説したい。

原著

喉頭全摘術後の咽頭皮膚瘻

著者: 寺山善博 ,   折原廣己 ,   長舩宏隆 ,   小田恂

ページ範囲:P.187 - P.190

 はじめに
 喉頭全摘術後の咽頭皮膚瘻の発生は,経口摂取の遅延や入院期間の延長の原因となり,また総頸動脈破裂を起こし得る危険な合併症である。患者のQOLを著しく低下させるため,頭頸部外科医にとっては回避すべき合併症の1つである。咽頭皮膚瘻の発生要因については,これまでに諸外国ではいくつかの報告1〜11)があるが,本邦における報告12〜14)は数少ない。
 今回,当科において喉頭悪性腫瘍の診断で喉頭全摘術を施行した症例を対象に,咽頭皮膚瘻の発生頻度,要因について検討したので報告する。

両側交代性顔面神経麻痺の3症例についての検討

著者: 奥田匠 ,   鳥原康治 ,   竹中美香 ,   小宗静男

ページ範囲:P.191 - P.193

 はじめに
 両側顔面神経麻痺は,その発症様式から両側同時性と両側異時性に分類され,後者はさらに両側交代性と両側再発性に分けられている1)
 われわれは,比較的稀とされる両側交代性顔面神経麻痺症例を3例経験した。種々の検討を行ったところ,MRIでの造影効果に関して興味深い知見が得られたので,若干の文献的考察を加えて報告する。

ヘルペス性喉頭炎の1症例

著者: 鈴木政彦 ,   宮下久夫 ,   中村弦 ,   鵜澤正道 ,   船田信顕 ,   森山佐知子

ページ範囲:P.196 - P.198

 はじめに
 ヘルペス性咽喉頭炎は比較的稀な疾患で1),免疫力の低下時2),新生児にときとしてみられることがあり3),診断に苦慮することが多い。また,気道粘膜に浮腫をきたした場合,気管切開を余儀なくされる場合もある。
 今回われわれはヘルペス性喉頭炎の1症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する。

小児の頸部膿瘍5症例

著者: 上田大 ,   信原健二 ,   安田繁伸 ,   三牧三郎

ページ範囲:P.201 - P.205

 はじめに
 抗生物質の進歩により,最近では重篤な経過に至る深頸部感染症は減少したといわれている。しかし,糖尿病,膠原病,長期ステロイド使用,癌などの免疫能を低下させる基礎疾患を有する場合や,所見の取りにくい小児では急激な経過をたどり1),ときに重症化する場合も有り得る。
 今回われわれは,切開排膿術を施行した小児の頸部膿瘍を1996年11月〜1999年10月の過去3年間に京都市立病院耳鼻咽喉科で5症例経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する。

化膿性頸椎炎に続発した咽後膿瘍例

著者: 藤田健一郎 ,   山田弘之 ,   畠中節夫 ,   石田良治 ,   徳力俊治

ページ範囲:P.207 - P.210

 はじめに
 成人の咽後膿瘍は抗生物質の進歩と結核の減少により,今日では遭遇する機会が減少している疾患である。しかし,咽後膿瘍はときに重篤な合併症を引き起こし,不幸な転帰をたどる例があり,早期診断と適切な治療は現在でも重要である。
 今回われわれは,化膿性頸椎炎からの直接波及により,咽頭後間隙に膿瘍を形成し,さらに脊髄炎による四肢麻痺を呈した1例を経験したので報告する。

鼻腔類基底細胞癌の1症例

著者: 山本一宏 ,   前田秀明

ページ範囲:P.212 - P.215

 はじめに
 鼻・副鼻腔領域には様々な悪性腫瘍が発生する。
 今回われわれは,鼻閉を主訴とした27歳女性の鼻腔類基底細胞癌(basaloid squamous cell carci-noma:BSCC)症例を経験し,内視鏡下の切除により良好な結果が得られたので,治療経過を報告するとともに文献的検討も行った。

手術治療を要した木村病の4例

著者: 武田靖志 ,   赤木博文 ,   結縁晃治 ,   小川晃弘 ,   西﨑和則 ,   岡本伸 ,   山下安彦 ,   赤木成子

ページ範囲:P.221 - P.225

 はじめに
 木村病1)は耳下部,顔面,頸部の皮下とリンパ節を中心にした無痛性の腫瘤を生じ,末梢血の好酸球増多やIgE高値をしばしば認める病因不明の良性疾患である。現在でも確立された治療法は報告されていない2)
 今回われわれは,手術的治療を要し,その後抗アレルギー剤投与を行った耳下腺木村病の4例を経験したので,そのうち3症例を呈示するとともに文献的考察を加えて報告する。

穿刺後に急速増大した口腔底海綿状血管腫例

著者: 梅原毅 ,   西野裕仁 ,   釼持睦 ,   岡田智幸 ,   大橋徹

ページ範囲:P.228 - P.231

 はじめに
 口腔領域には血管腫が好発する。口腔底の血管腫は発生部位の特殊性から,腫瘍が増大すると嚥下障害や言語障害などを生じ,さらに増大を続ければ呼吸障害も発生する。
 今回われわれは,試験穿刺により急速増大した口腔底血管腫を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する。

鏡下咡語

口蓋裂と私

著者: 澤島政行

ページ範囲:P.218 - P.219

 はじめに
 この「鏡下囁語」に執筆させて頂くのは,今回で2回目である。前回は丁度10年前で,東大を定年後,横浜船員保険病院長2年目で,現役第2の人生に張切って「医療をみる眼」と題した文を載せて頂いた。
 その後10年,病院も名誉院長となり,現役時代は遠くなりつつある。そこで,編集室からの「内容はご自由に」というご好意に甘えて,個人的な回顧になるが「口蓋裂と私」と題して書かせて頂く。

連載 シリーズ/ここまでわかる画像

③鼻・副鼻腔のMRI

著者: 飯沼壽孝

ページ範囲:P.233 - P.240

 はじめに
 CTとMRIとは,鼻・副鼻腔の腫瘍性病変の診断においてはおそらく相補的な役割を果たし,CTは骨ならびに骨との境界の診断に,MRIは軟部組織の分解能と頭蓋内,あるいは眼窩内進展の診断に有用である1)。しかし,日常の鼻・副鼻腔疾患の多くは慢性炎症性疾患であり,画像診断の目的は手術を前提とした局所解剖,すなわちロードマップであるので,内視鏡下副鼻腔手術を行うには骨の条件の冠状断層CTが最適で,MRIの適応はない1,2)。MRIがCTに優る場合は,細胞数が多く自由水の少ない病変と分泌物(漿液性,粘液性)を多く含み自由水も多い病変の鑑別ができる点にある3)
 鼻・副鼻腔疾患におけるMRIの撮像には,一般にspinecho法(SE法と略)が用いられ,T1強調画像(解剖学的な構造の描出)とT2強調画像(病巣の検出,性状診断)の両者を撮像する。プロトン密度強調画像はT2強調画像と同時に撮像でき,T2強調画像よりS/N比(信号雑音比)が高いので,病巣とその周辺の解剖学的な構造が明瞭に描出され有用な場合がある4)。腫瘍性病変一般,病変の眼窩内および頭蓋内進展が疑われる場合には,Gd-DTPAなどの増強剤を用いたT1強調画像の撮像が必要である。現状では,CTやMRIの所見を総合しても確定組織診断に至ることは少なく,病変の分布と進展とが主要な診断の対象である5)

基本情報

耳鼻咽喉科・頭頸部外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1316

印刷版ISSN 0914-3491

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

95巻13号(2023年12月発行)

特集 めざせ! 一歩進んだ周術期管理

95巻12号(2023年11月発行)

特集 嚥下障害の手術を極める! プロに学ぶコツとトラブルシューティング〔特別付録Web動画〕

95巻11号(2023年10月発行)

特集 必見! エキスパートの頸部郭清術〔特別付録Web動画〕

95巻10号(2023年9月発行)

特集 達人にきく! 厄介なめまいへの対応法

95巻9号(2023年8月発行)

特集 小児の耳鼻咽喉・頭頸部手術—保護者への説明のコツから術中・術後の注意点まで〔特別付録Web動画〕

95巻8号(2023年7月発行)

特集 真菌症—知っておきたい診療のポイント

95巻7号(2023年6月発行)

特集 最新版 見てわかる! 喉頭・咽頭に対する経口手術〔特別付録Web動画〕

95巻6号(2023年5月発行)

特集 神経の扱い方をマスターする—術中の確実な温存と再建

95巻5号(2023年4月発行)

増刊号 豊富な処方例でポイント解説! 耳鼻咽喉科・頭頸部外科処方マニュアル

95巻4号(2023年4月発行)

特集 睡眠時無呼吸症候群の診療エッセンシャル

95巻3号(2023年3月発行)

特集 内視鏡所見カラーアトラス—見極めポイントはここだ!

95巻2号(2023年2月発行)

特集 アレルギー疾患を広く深く診る

95巻1号(2023年1月発行)

特集 どこまで読める? MRI典型所見アトラス

94巻13号(2022年12月発行)

特集 見逃すな!緊急手術症例—いつ・どのように手術適応を見極めるか

94巻12号(2022年11月発行)

特集 この1冊でわかる遺伝学的検査—基礎知識と臨床応用

94巻11号(2022年10月発行)

特集 ここが変わった! 頭頸部癌診療ガイドライン2022

94巻10号(2022年9月発行)

特集 真珠腫まるわかり! あなたの疑問にお答えします

94巻9号(2022年8月発行)

特集 帰しちゃいけない! 外来診療のピットフォール

94巻8号(2022年7月発行)

特集 ウイルス感染症に強くなる!—予防・診断・治療のポイント

94巻7号(2022年6月発行)

特集 この1冊ですべてがわかる 頭頸部がんの支持療法と緩和ケア

94巻6号(2022年5月発行)

特集 外来診療のテクニック—匠に学ぶプロのコツ

94巻5号(2022年4月発行)

増刊号 結果の読み方がよくわかる! 耳鼻咽喉科検査ガイド

94巻4号(2022年4月発行)

特集 CT典型所見アトラス—まずはここを診る!

94巻3号(2022年3月発行)

特集 中耳・側頭骨手術のスキルアップ—耳科手術指導医をめざして!〔特別付録Web動画〕

94巻2号(2022年2月発行)

特集 鼻副鼻腔・頭蓋底手術のスキルアップ—鼻科手術指導医をめざして!〔特別付録Web動画〕

94巻1号(2022年1月発行)

特集 新たに薬事承認・保険収載された薬剤・医療資材・治療法ガイド

icon up
あなたは医療従事者ですか?