文献詳細
原著
ビタミンE単独欠乏によるフリードライヒ型失調症症例の神経耳科学的所見
著者: 今内豊1 高野澤美奈子1 室伏利久1
所属機関: 1東京大学医学部耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.469 - P.472
文献概要
特発性のビタミンE単独欠乏により,フリードライヒ失調症型の脊髄小脳変性症様症状が小児に発症することが1981年にBurckら1)により報告され1987年にはYokotaら2)により成人発症例が報告された。αトコフェロールの血中濃度の維持は,αトコフェロール転移蛋白(αTTP)がαトコフェロールを選択的に摂取し,肝臓で合成される超低比重リボ蛋白(VLDL)に選択的に取り込ませて再び血中に戻すことによって保たれている。本症では,αTTP遺伝子の変異によりこの機構が障害され血清ビタミンEが低値になると考えられている3)。現在まで家族例,孤発例を含めて50例以上1〜8)が報告されているが,神経耳科学的な考察はなされていない。
今回われわれは,ビタミンE単独欠乏によるフリードライヒ型失調症症例の神経耳科学的所見を検討する機会を得たので報告する。
掲載誌情報