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雑誌目次

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科74巻8号

2002年07月発行

雑誌目次

目でみる耳鼻咽喉科

顎下腺悪性好酸性顆粒細胞腫の1症例

著者: 平松隆 ,   村井道典 ,   山田南星 ,   大西将美 ,   田中雄一 ,   宮田英雄

ページ範囲:P.502 - P.503

 好酸性顆粒細胞腫は,主に唾液腺などの腺組織にみられる好酸性顆粒細胞の腫瘍性増殖である。全唾液腺腫瘍に占める割合が1%前後の腫瘍とされ,さらに,その悪性例の報告例は本邦では10数例,海外では40数例と少ない1,2)。悪性好酸性顆粒細胞腫の好発部位としては,耳下腺が圧倒的に多く顎下腺は極めて少ない1)
 今回われわれは,顎下腺に発生した悪性好酸性顆粒細胞腫の頸部リンパ節転移例を経験したので報告する。

Current Article

急速眼球運動(サッケード)の機能検査としての役割

著者: 中村正

ページ範囲:P.505 - P.515

 はじめに
 聴覚系,前庭系および眼球運動系が後頭蓋窩背側部領域の主要な系として存在しているため,この3系は後頭蓋窩領域の機能評価法として重要な役割を果たしている。この中で,眼球運動は記録・解析が比較的容易であり刺激に対して理論的な反応が期待できることなどから,聴覚系,前庭系とともに中枢神経系機能を定量的に評価できる数少ない“ツール”といえる。しかも,眼球運動系は前庭系と密接な関連を持っているため,われわれ耳鼻咽喉科医がこの分野に果たす役割は大きい。
 ところで,眼球運動系は,滑動性眼球運動あるいは視運動性眼振に代表される緩徐な眼球運動と,ある点から別の点に視線を急激に移動するときに起こる急速眼球運動に大別されている。緩徐な眼球運動は,追跡眼球運動検査および視運動性眼振検査として臨床の場でしばしば利用されているが,後者の急速眼球運動は平衡機能検査では視刺激検査の1つとして確立されているものの,広く認知されているとはいい難い。

原著

鼻中隔に発生した軟骨肉腫の2症例

著者: 岩谷直美 ,   緒方憲久 ,   西村友紀子 ,   湯本英二

ページ範囲:P.517 - P.521

 はじめに
 頭頸部領域に発生する悪性腫瘍は癌腫がほとんどであり,肉腫の占める割合は非常に少ない。その中でも軟骨肉腫の頻度は極めて少なく,頭頸部における軟骨肉腫の占める割合は非上皮性悪性腫瘍の中の約4%とされている1)
 今回,われわれは鼻中隔に発生した軟骨肉腫2症例を経験したので,その臨床経過を述べるとともに若干の文献的考察を加えて報告する。

多発性骨髄腫に移行した髄外性形質細胞腫の1症例

著者: 浅川剛志 ,   吉田晋也 ,   吉川琢磨 ,   岸田覚

ページ範囲:P.523 - P.526

 はじめに
 今回われわれは,再発を繰り返し多発性骨髄腫に移行した鼻・副鼻腔髄外性形質細胞腫の1症例を経験したので,その概要を文献的考察を加えて報告する。

蝶形骨洞に生じた脊索腫に海綿静脈洞症候群を認めた1例

著者: 武田靖志 ,   赤木博文 ,   結縁晃治 ,   小川晃弘 ,   西﨑和則 ,   服部央 ,   赤木成子 ,   國友忠義

ページ範囲:P.527 - P.531

 はじめに
 脊索腫(chordoma)は蝶形骨洞を含むトルコ鞍近傍に生じる腫瘍の1つである。
 今回われわれは,蝶形骨洞を占拠する脊索腫で海綿静脈洞症候群を認めた1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する。

上顎全摘出術を要した鼻・副鼻腔内反性乳頭腫の1例

著者: 金田裕治 ,   佐藤宏昭 ,   村井和夫 ,   三浦康宏 ,   石川健

ページ範囲:P.533 - P.536

 はじめに
 乳頭腫は,病理組織学的に外反性乳頭腫,内反性乳頭腫および円柱上皮乳頭腫に分類され,臨床的にもそれぞれ特徴的な性格を有している1)。中でも内反性乳頭腫は,臨床的には局所再発を高頻度に認め,悪性腫瘍の合併や悪性化の可能性があるという点で注意を要する良性腫瘍である。
 今回われわれは,臨床的に悪性化が疑われ,上顎全摘出術を要した内反性乳頭腫の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する。

鼻出血を繰り返した原発性アミロイドーシスの1例

著者: 石川敏夫 ,   戸島均

ページ範囲:P.543 - P.546

 はじめに
 アミロイドーシスは,線維性構造を有する特異なタンパクであるアミロイドが身体内の数々の臓器,組織の細胞外に沈着する原因不明の代謝病である。Amyloid of immunoglobulin light chain (以下,ALと略)アミロイドーシスは全身性アミロイドーシスの1つで,臨床的には原発性アミロイドーシスおよび多発性骨髄腫に伴うアミロイドーシスに分類される1,2)
 今回われわれは,鼻出血を繰り返すため精査したところ,上咽頭にアミロイドの沈着が認められ,原発性アミロイドーシスと考えられた1例を経験したので,若干の文献的考察とともに報告する。

花火により口腔咽頭熱傷および咽後間隙気腫を生じた1症例

著者: 長谷川武 ,   竹腰英樹 ,   青木大輔 ,   善浪弘善 ,   菊地茂

ページ範囲:P.547 - P.550

 はじめに
 口腔・咽頭領域の熱傷には,口腔・咽頭に限られたものから食道,下気道に及ぶ広範囲なものまである。治療は保存的処置で済むものから気道管理や全身管理を要するものまで多岐にわたる。さらに,気道の瘢痕拘縮と癒着のため再建術を要することもある1〜3)
 今回,われわれは花火により口腔・咽頭に熱傷を起こし,頸部皮下気腫へと至った症例を経験し治療し得たので,文献的,解剖学的考察を加えて報告する。

舌神経分枝由来の神経鞘腫の1例

著者: 越智篤 ,   江上直也 ,   石川敏夫 ,   戸島均

ページ範囲:P.554 - P.557

 はじめに
 神経鞘腫は外胚葉系のSchwann細胞に由来する腫瘍で,Schwann細胞が存在するところなら原則的に全身どこでも発生し得る。頭頸部領域では聴神経腫瘍を除けば側頸部に最も多く,舌や口蓋,口腔底など口腔領域では数が少ない1)
 今回われわれは舌神経由来の神経鞘腫を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する。

鏡下咡語

Killian-Shirabe(K・S)額帯鏡

著者: 調賢哉

ページ範囲:P.540 - P.541

 はじめに
 漫画に出てくるお医者さんは,白衣,聴診器とならんで,必ず額帯反射鏡を持っている。この額帯反射鏡は,あたかもお医者さんの「シンボル」のようになっているが,実際に使うのは耳鼻咽喉科専門医だけである。これは,真ん中に穴が開いただけの凹面鏡にすぎない。1860年頃から使用されたらしいが,最初の電気のなかった時代は太陽やろうそくの炎を光源に使用していた。やがて電球の普及とともに非常に重宝がられる存在となった。
 しかし,直達鏡検査を行う必要から,反射光を使わず前端に豆電球を付けた額帯ランプが普及し始めた。

手術・手技

滲出性中耳炎に対するCO2レーザーによる鼓膜切開術の経験

著者: 新木五月 ,   村上泰 ,   村上作之 ,   加藤賢 ,   水田邦博

ページ範囲:P.560 - P.563

 はじめに
 滲出性中耳炎の治療には保存的治療,鼓膜切開術,中耳換気チューブ挿人術などがある。保存的治療を行い改善が認められない症例に対して,メスによる鼓膜切開術を行うことがある。しかし,メスによる切開では穿孔は数日のうちに閉鎖し,再貯留を認めることがある。
 今回,CO2レーザーによる鼓膜切開術を行い,平均19.1日間の開存期間を得ることができた。その後,再貯留した症例にのみ中耳換気チューブ挿入術を行った。中耳換気チューブ挿入術適応の判断に,CO2レーザーによる鼓膜切開術は有用な手技と考えられたので報告する。

連載 シリーズ/ここまでわかる画像

⑦口腔,咽頭のMRI

著者: 佐藤純 ,   秋葉英成 ,   氷見徹夫

ページ範囲:P.565 - P.572

 はじめに
 近年の画像機器の進歩はめざましい。特に1980年代より臨床に導入されてきたMR技術は,その知見の増大と製品の改良によって,今や耳鼻咽喉科領域においても診断ツールとしてその地位を確立している。
 本稿ではMRIの総論的な部分もまじえて咽頭,口腔のMRIについて述べる。

基本情報

耳鼻咽喉科・頭頸部外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1316

印刷版ISSN 0914-3491

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