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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科74巻9号

2002年08月発行

特集 難治性副鼻腔炎の治療

5.アスピリン不耐症・喘息合併例の取り扱い

著者: 榊原博樹1 内山康裕 姫野一成

所属機関: 1藤田保健衛生大学医学部呼吸器内科・アレルギー科

ページ範囲:P.609 - P.614

文献概要

 はじめに
 アスピリン過敏症,喘息,鼻茸は合併することが多く,asthma triad1)あるいはアスピリン喘息(aspirin induced asthma:AIA)と呼ぼれ,そのような症例は一般に重症で難治性である。AIA患者は,アスピリンのみならず,インドメサシン,フェノプロフェン,イブプロフェンなど,アスピリン様の薬効をもつほとんど全ての酸性の非ステロイド性抗炎症薬(non-steroidal antiinflammatorydrugs:NSAID)に反応し,蕁麻疹や喘息発作を起こす2)。これらのNSAIDの共通した薬理作用であるアラキドン酸シクロオキシゲナーゼ阻害作用が過敏反応の引き金になるものと考えられている。すなわち,AIA患者にはアラキドン酸の代謝経路上に何らかの異常があり,それがNSAIDにより顕在化し過敏反応として現われてくるものと考えらている。
 AIAは,NSAID以外に食品や医薬品の添加物として広汎に使用されているタートラジン(食用黄色4号),安息香酸ナトリウム,パラオキシ安息香酸エステル類(パラベン),ベンジルアルコールなどにも過敏性をもつことがある3)。また,気管支喘息の治療に頻用されるコハク酸エステル型の静注用副腎皮質ステロイド薬に対しても高頻度(50〜75%)に過敏反応を起こして喘息症状が悪化する3)。さらに,自然界に広く分布しており,果物などの食物として摂取される機会の多いサリチル酸誘導体や安息香酸誘導体でも過敏反応が起こるという指摘もある。AIAの誘因にはこのような種々の医薬品や添加物などの環境因子の関与が考えられ,単にNSAIDを除外しただけでは症状のコントロールが難しい由縁であろう。
 以下に述べるようにAIAには鼻炎,副鼻腔炎,鼻茸の合併頻度が高いが,その合併機序や因果関係に関しては不明な点が多い。本稿ではAIAに合併する鼻・副鼻腔疾患の特徴を明らかにしたうえでその治療や管理上の注意点について述べる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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