文献詳細
手術・手技
側頭骨横骨折に対する顔面神経全減荷術の1例—拡大経迷路法によるアプローチ
著者: 前田学1 中川文夫2 宮原孝和2 斉藤龍介2 宇野欽哉3
所属機関: 1岡山大学大学院医歯学総合研究科耳鼻咽喉頭頸部外科学 2岡山済生会総合病院耳鼻咽喉科 3うのきん耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.641 - P.644
文献概要
側頭骨は聴・平衡覚器官を包含し,顔面神経を初めとする多数の脳神経や内頸動静脈など重要血管の頭蓋内外交通路として重要であり,頭部外傷に伴う頭蓋底骨折に際し高率に障害される部位でもある1)。側頭骨骨折は錐体長軸に対する骨折線の走行により縦骨折と横骨折に分類され,横骨折では縦骨折に比べ顔面神経麻痺を伴う率が高い。外傷性顔面神経麻痺に対する治療方針は障害部位と程度により異なるが,特に側頭骨骨折に伴う麻痺に対しては手術の適応,術式について未だ議論がある2)。
われわれは側頭骨横骨折により顔面神経迷路部が損傷された症例を経験し,積極的治療として拡大経迷路法による顔面神経全減荷術を施行し良好な結果が得られたので,術式について若下の考察を加え報告する。
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