文献詳細
原著
肺転移をきたした耳下腺多形腺腫例
著者: 松本州司1 小桜謙一1 宮崎純一2 横畠悦子3 中谷宏章4
所属機関: 1高知市立市民病院耳鼻咽喉科 2高知県立幡多けんみん病院病理診断科 3高知県立幡多けんみん病院耳鼻咽喉科 4高知医科大学耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.729 - P.733
文献概要
多形腺腫は,唾液腺腫瘍の中で発生頻度の最も高い良性腫瘍である。しかし,被膜形成の不十分な腫瘍では再発をきたしやすく,長期間放置された症例では悪性化をきたすことも知られている1)。さらに,極めて稀ではあるが組織学的には良性を示すにもかかわらず,肺や骨に遠隔転移をきたす症例の報告1)もあり,臨床的には低悪性度腫瘍に準じた対応が必要である。
今回,われわれは耳下腺多形腺腫の治療後に肺転移をきたした症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する。
掲載誌情報