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特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科におけるナビゲーション手術
1.耳鼻咽喉科・頭頸部外科におけるナビゲーション手術の現状
著者: 友田幸一1
所属機関: 1金沢医科大学耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.781 - P.786
文献購入ページに移動I.はじめに
ナビゲーションシステムは,手術部位の確認をリアルタイムに行いながら,安全で確実な手術ができることから,技術と経験に頼っていた外科手術に変革を与えようとしている。特に耳鼻咽喉科・頭頸部領域は,眼窩,頭蓋底などの危険部位が隣接し,また重要な神経,血管が走行するなど解剖学的に複雑で個人差が多く,そのため副損傷があとを絶たない。また構造的に骨組織で囲まれ,臓器変形が少ないためナビゲーション手術に適している。歴史的に手術用ナビゲーションの概念がHorsley-Clarkにより提唱されてから約100年,日本ではニューロナビゲーターが開発されて約18年が経過する。一方耳鼻咽喉科・頭頸部領域では,1993年にZinreichら1)が副鼻腔の手術に初めて使用し,その後欧米で盛んに使われるようになり,多くの報告もみられる。国内では1995年に西﨑ら2)が外耳道奇形手術に,黄川田ら3)が鼻内副鼻腔手術に使用した。現在国内の耳鼻咽喉科医療施設のうち,約40施設でナビゲーションシステムが使用されている。筆者らの施設でも1997年から導入し,現在までに270例の症例に応用してきた(表1)。
今日,その適応は拡大され鼻・副鼻腔手術以外に耳科・側頭骨手術,頭頸部・頭蓋底手術,顎・顔面外傷のほかに生検,手術教育,トレーニング,遠隔医療にまで応用されてきている。
本稿では,ナビゲーションシステムおよび周辺機器の現状,手術の現状,課題と将来展望などについて述べる。
ナビゲーションシステムは,手術部位の確認をリアルタイムに行いながら,安全で確実な手術ができることから,技術と経験に頼っていた外科手術に変革を与えようとしている。特に耳鼻咽喉科・頭頸部領域は,眼窩,頭蓋底などの危険部位が隣接し,また重要な神経,血管が走行するなど解剖学的に複雑で個人差が多く,そのため副損傷があとを絶たない。また構造的に骨組織で囲まれ,臓器変形が少ないためナビゲーション手術に適している。歴史的に手術用ナビゲーションの概念がHorsley-Clarkにより提唱されてから約100年,日本ではニューロナビゲーターが開発されて約18年が経過する。一方耳鼻咽喉科・頭頸部領域では,1993年にZinreichら1)が副鼻腔の手術に初めて使用し,その後欧米で盛んに使われるようになり,多くの報告もみられる。国内では1995年に西﨑ら2)が外耳道奇形手術に,黄川田ら3)が鼻内副鼻腔手術に使用した。現在国内の耳鼻咽喉科医療施設のうち,約40施設でナビゲーションシステムが使用されている。筆者らの施設でも1997年から導入し,現在までに270例の症例に応用してきた(表1)。
今日,その適応は拡大され鼻・副鼻腔手術以外に耳科・側頭骨手術,頭頸部・頭蓋底手術,顎・顔面外傷のほかに生検,手術教育,トレーニング,遠隔医療にまで応用されてきている。
本稿では,ナビゲーションシステムおよび周辺機器の現状,手術の現状,課題と将来展望などについて述べる。
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