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原著
直達鏡下CO2レーザーによるラリンゴケーレの治療経験
著者: 乾崇樹13 東川雅彦1 牧本一男1 田中朝子1 荒木倫利1 竹中洋1 辻求2
所属機関: 1大阪医科大学耳鼻咽喉科学教室 2大阪医科大学附属病院病理部 3原籍:大阪府済生会中津病院耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.862 - P.866
文献購入ページに移動ラリンゴケーレ(laryngocele)の発症頻度は,欧米においては250万人に1人といわれている1)。一方,日本人における発症頻度はさらに低い2,3)。この違いが生じる原因としては,喉頭小囊の長さの違いなどの解剖学的要因が推測されているものの,いまだ不明である2,3)。ラリンゴケーレの発症様式は先天性,後天性に分けられ,先天性の場合は出生直後より呼吸困難で発見されるため,速やかな処置を要する4)。
後天性のラリンゴケーレの発生原因は,喉頭室より上方に伸びた喉頭小囊が気圧などにより拡大して気囊胞を呈したものとする説が有力である5)。ラリンゴケーレは,その占拠範囲が甲状軟骨内にとどまっているか否かによりinternal type,external type,mixed typeに分けられる6)。Internal typeでは,小さなものでは無症状で経過するが,大きなものであれば異物感,呼吸困難が生じる。External typeであれば頸部腫脹で発見される頻度が高い。ラリンゴケーレの臨床上の扱いに関しては,悪性腫瘍を合併することもあることから7~9),生検も兼ねた切除術,できれば全摘出を行うのが望ましいとされている。
今回われわれは,成人男性において臨床症状が乏しい状態でラリンゴケーレを発見し,それに対して手術侵襲の小さい直達鏡下CO2レーザーによる切除を選択し奏効した例を経験したので報告する。
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