文献詳細
原著
側頸部に発生したワルチン腫瘍の1例
著者: 佐野真幸12 岡田和也1 白柳玲子1 岩崎真一1 阿部和也1
所属機関: 1東京都立府中病院耳鼻咽喉科 2現籍:公立昭和病院耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.211 - P.213
文献概要
ワルチン腫瘍は囊胞状の腺腔構造を形成する唾液腺由来の上皮性組織とリンパ性組織よりなる独特の病理組織像を特徴とする腫瘍である。1895年Hilderbrandによって最初に報告され,1929年に病理学者Warthinによって乳頭状リンパ管囊腺腫(papillary cystadenoma lymphadenosum)としてまとめられたもので,一般にワルチン腫瘍の名前で呼ばれる。現在のWHO分類では腺リンパ腫(adenolymphoma)とされている。本疾患は通常耳下腺をはじめとする唾液腺に発生する良性腫瘍であり,唾液腺外に発生することは稀である。
今回われわれは唾液腺外に発生したワルチン腫瘍の1例を経験したので,その経過と発生機転について考察を加え報告する。
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