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原著
成人の先天性気管食道瘻の1例
著者: 相原隆一1 上甲英生1 山田啓之1 兵頭政光2 脇坂浩之2 塩出昌弘3
所属機関: 1市立宇和島病院耳鼻咽喉科 2愛媛大学医学部耳鼻咽喉科学教室 3市立宇和島病院内科
ページ範囲:P.229 - P.234
文献購入ページに移動先天性気道食道瘻は稀な疾患であるが,そのほとんどは食道閉鎖症を伴う気管食道瘻で,通常は出生直後に診断され治療がなされる。一方,食道閉鎖症を伴わない先天性気道食道瘻には,その形状から一般にH型と呼ばれる気管食道瘻(Gross分類におけるE型食道閉鎖症)と気管支に交通する食道気管支瘻の2種類がある。H型気管食道瘻は小児期に発見されることが多いものの,食道閉鎖症を伴う例に比べて必ずしも致死的ではなく,症状が非特異的であることなどから,ごく稀に成人になって発見される場合がある。
今回われわれは,成人になって発見された先天性気管食道瘻の1例を治療する機会を得た。成人の先天性気管食道瘻は稀で,1929年にNegusによって報告されて以来40余例の報告をみるに過ぎない。経験した症例の概要を紹介するとともに,過去の報告例と併せて瘻孔の存在部位,手術アプローチ法などについて集計し,成人の先天性気管食道瘻の特徴について検討したので報告する。
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