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特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科の機能検査―何がどこまでわかるか―
VI.鼻腔通気度検査(音響鼻腔計測法[acoustic rhinometry]を含む)
著者: 内藤健晴1
所属機関: 1藤田保健衛生大学医学部耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.181 - P.185
文献購入ページに移動I.はじめに
われわれ医師が患者を診察するにあたり,見たり,触ったりということだけでなく,機能を客観的な証拠として示せることは非常に有益なことである。しかもそれが簡便で被検者への侵襲が小さければそれに越したことはない。例えば循環器内科であれば心電図,呼吸器内科であれば肺機能検査などである。鼻腔通気度検査(rhinomanometry)は鼻呼吸の程度を客観的に示せる機能検査の1つで,しかも簡便で侵襲が小さい。鼻科領域の機能検査は嗅覚検査と本検査の2つしかなく,鼻腔通気度検査は鼻科領域での数少ない機能検査法のうちの1つである。このように貴重で有益な鼻腔通気度検査法をわれわれが臨床の場で役に立てない手はない。本稿では,通気度計の器械はあっても鼻腔通気度検査法はどうも小難しく何となく敬遠してきたという医師にも,また,これから新たに勉強して使いたいという医師にも簡単に理解できるように平易に説明することとする。
一方,近年,音パルス反射を利用した音響鼻腔計測法(acoustic rhinometry:AR)という,操作が簡便で再現性が高い,鼻腔を断面積や容積として表現できる機器が開発され,2002年からは日本国内でも患者に使用可能となったので,本機器についても測定理論,鼻腔通気度との関係などをわかりやすく説明する。
この2つの測定機器は鼻腔通気性を客観的に評価できる優れた方法であるが,鼻腔通気度は鼻腔という空間の中を空気が流れて初めて測定できるdynamicな生理学的評価法であるのに対して,ARは鼻腔自体が広いとか狭いとかという解剖学的なstaticな評価法であり,そこを通過する気流の概念は含まれない。このようにこの2者はそれぞれ異なった概念の測定機器であることを十分熟知して採用しないと,誤った理解に陥るので注意が必要である。
われわれ医師が患者を診察するにあたり,見たり,触ったりということだけでなく,機能を客観的な証拠として示せることは非常に有益なことである。しかもそれが簡便で被検者への侵襲が小さければそれに越したことはない。例えば循環器内科であれば心電図,呼吸器内科であれば肺機能検査などである。鼻腔通気度検査(rhinomanometry)は鼻呼吸の程度を客観的に示せる機能検査の1つで,しかも簡便で侵襲が小さい。鼻科領域の機能検査は嗅覚検査と本検査の2つしかなく,鼻腔通気度検査は鼻科領域での数少ない機能検査法のうちの1つである。このように貴重で有益な鼻腔通気度検査法をわれわれが臨床の場で役に立てない手はない。本稿では,通気度計の器械はあっても鼻腔通気度検査法はどうも小難しく何となく敬遠してきたという医師にも,また,これから新たに勉強して使いたいという医師にも簡単に理解できるように平易に説明することとする。
一方,近年,音パルス反射を利用した音響鼻腔計測法(acoustic rhinometry:AR)という,操作が簡便で再現性が高い,鼻腔を断面積や容積として表現できる機器が開発され,2002年からは日本国内でも患者に使用可能となったので,本機器についても測定理論,鼻腔通気度との関係などをわかりやすく説明する。
この2つの測定機器は鼻腔通気性を客観的に評価できる優れた方法であるが,鼻腔通気度は鼻腔という空間の中を空気が流れて初めて測定できるdynamicな生理学的評価法であるのに対して,ARは鼻腔自体が広いとか狭いとかという解剖学的なstaticな評価法であり,そこを通過する気流の概念は含まれない。このようにこの2者はそれぞれ異なった概念の測定機器であることを十分熟知して採用しないと,誤った理解に陥るので注意が必要である。
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