耳鼻咽喉科・頭頸部外科75巻8号

2003年07月発行

原著

外耳道に生じた皮脂腺癌の1症例

著者： 境修平¹ 辻茂希² 大久保英樹³ 原晃³

所属機関： ¹筑波大学附属病院耳鼻咽喉科 ²国立水戸病院耳鼻咽喉科 ³筑波大学臨床医学系耳鼻咽喉科学校室

ページ範囲：P.557 - P.560

文献概要

I．はじめに

　皮脂腺癌は，臨床病理学的に眼瞼に生じるものと眼瞼以外の部位に生じるものに大別され，予後についてもそれぞれ異なるものとして扱われている^1）。眼瞼に生じる場合，マイボーム腺からのものが多く，眼瞼の悪性腫瘍の1～5.5％を占め，予後不良の腫瘍として知られている^2）。一方，眼瞼外皮脂腺癌の発生部位は頭頸部に多く，中でも顔面，特に鼻部，頰部に多いとされている^3）。

　今回われわれは，外耳道に生じた皮脂腺癌の1症例を経験したので，若干の文献的考察を加え報告する。