文献詳細
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文献概要
I.はじめに
温度眼振とは,迷路に加えられた温度刺激によって惹起される眼振のことである。迷路を一側のみ刺激して,前庭眼反射をみることができる唯一の方法であることから,めまい患者の臨床に欠くことのできない検査であり,1906年のBarany1)の報告以来“温度刺激検査caloric test”として広く行われている。“温度眼振”をキーワードにして文献検索をかけるとたちどころに1,000以上の文献がみつかり,もう研究され尽くした感がある。
一方,耳科医にとって温度眼振とは極めて日常的な現象である。耳垢や耳漏を吸引したり洗い流すとき,ときに患者は気持ち悪いとかめまいがするとか言い大騒ぎする。眼振が出ていることで,心筋梗塞や脳梗塞,vago-vagal reflexによる血圧低下と容易に区別できる。点耳薬を処方する際は,“手で握るなどして人肌に温めて”から点耳するよう指示しないと,温度刺激によるめまいのために患者は一度の点耳でやめてしまう。鼓膜麻酔のためのイオントフォレーゼには37℃に温めた薬液を使わなければならない。
本稿では,この古くて新しい温度眼振の今日的おもしろさを紹介したい。
温度眼振とは,迷路に加えられた温度刺激によって惹起される眼振のことである。迷路を一側のみ刺激して,前庭眼反射をみることができる唯一の方法であることから,めまい患者の臨床に欠くことのできない検査であり,1906年のBarany1)の報告以来“温度刺激検査caloric test”として広く行われている。“温度眼振”をキーワードにして文献検索をかけるとたちどころに1,000以上の文献がみつかり,もう研究され尽くした感がある。
一方,耳科医にとって温度眼振とは極めて日常的な現象である。耳垢や耳漏を吸引したり洗い流すとき,ときに患者は気持ち悪いとかめまいがするとか言い大騒ぎする。眼振が出ていることで,心筋梗塞や脳梗塞,vago-vagal reflexによる血圧低下と容易に区別できる。点耳薬を処方する際は,“手で握るなどして人肌に温めて”から点耳するよう指示しないと,温度刺激によるめまいのために患者は一度の点耳でやめてしまう。鼓膜麻酔のためのイオントフォレーゼには37℃に温めた薬液を使わなければならない。
本稿では,この古くて新しい温度眼振の今日的おもしろさを紹介したい。
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