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文献概要
鏡下咡語
新大阪発 午前7時33分
著者: 天津睦郎1
所属機関: 1新須磨病院
ページ範囲:P.50 - P.51
文献購入ページに移動 新大阪午前7時33分発東京行ひかり208号は既に24番線に停車していた。進行方向から8号車に乗り込んだ。始発列車でもあり,車内は一見して閑散としている。8号車には17列あって,東京側を先頭に通路を挟んで右側にA,B 2席,左側にC,D 2席計4席が1列となって,大きい番号から順に並んでいる。入り口から2列目の16番D席に,六十代半ばの紳士が着席して何かに目を通していた。高校時代の同級生で弁護士のK君ではないか。話は後でゆっくりできる筈だ。いつもと同様,禁煙車両のなかほどのD席を予約しておいた。今回はたまたま12番のD席,東京に向かって左手の窓側である。12番までは彼以外まだ誰も座っていない。生まれた時から今日まで,12という数字と妙に縁が深い。縁起を担ぐわけではないが,小生にとってはラッキーナンバーである。きっと今日は運がつくのだろう。今日はまず,午前11時から学会事務局で明日から2日間行われる第15回専門医認定試験の準備として,問題用紙の袋詰めをしなければならない。午後6時からは打ち合わせ会もある。結構忙しい1日である。
自席にたどりつき,バッグを上の棚に上げ,お茶の入ったペットボトルを窓枠に置く,上着は左前方の窓枠の洋服掛にぶら下げる。座席前の網袋には,新幹線車内誌「WEDGE」と「ひととき」がある。これに目を通してひとときを過ごす。通いなれた道中で,永い間に身についてしまった手順である。車掌が検札に来た。いつのまにか新大阪を発車していたようだ。あまり下を向いていると首が疲れるので,時々頭を上げ左前方の車外をみることにする。これも既にしっかりと身についている。どうやら直前の席13番D席にも人がいるようだ。きっと発車間際に駆け込んだに違いない。
自席にたどりつき,バッグを上の棚に上げ,お茶の入ったペットボトルを窓枠に置く,上着は左前方の窓枠の洋服掛にぶら下げる。座席前の網袋には,新幹線車内誌「WEDGE」と「ひととき」がある。これに目を通してひとときを過ごす。通いなれた道中で,永い間に身についてしまった手順である。車掌が検札に来た。いつのまにか新大阪を発車していたようだ。あまり下を向いていると首が疲れるので,時々頭を上げ左前方の車外をみることにする。これも既にしっかりと身についている。どうやら直前の席13番D席にも人がいるようだ。きっと発車間際に駆け込んだに違いない。
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