icon fsr

文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科76巻11号

2004年10月発行

特別寄稿

ヒト蝸牛病態評価のための蝸牛グラフ再構成図(graphic cochlear reconstruction)とcytocochleogramの作成法

著者: 村上嘉彦12

所属機関: 1山梨医科大学 2日本大学医学部

ページ範囲:P.819 - P.823

文献概要

I.はじめに

 聴覚障害,特に感音系難聴と蝸牛病変との関連性を検索するための基本的かつ効率的な方法として,1921年にGuild1)により創始され,導入された“graphic cochlear reconstruction method”(蝸牛の二次元的グラフ再構成図法と邦訳してみた)が最も有名である。その後Schuknecht2)により,本法の有用性と良好な再現性が再確認され,実験動物だけでなくヒト蝸牛病変評価にも敷衍・適用できることを示した1953年以降,Schuknechtを初めとする多くの側頭骨病理研究者によって現在も応用されてきている。

 この方法は,当初はコルチ器病変の評価に用いられたが,その後は蝸牛管内の他の多くの組織細胞成分やラセン神経節細胞(蝸牛ニューロン)の評価にも応用された。さらには,これらの得られた蝸牛病変の実態をオージオグラムなど生前の機能障害の状況と対応し図表化した“audio-cytocochleogram”の作成も行われて,一見して各蝸牛病変の実態を把握できるようになってきているが,これには蝸牛内の空間的な解剖学的周波数スケール(anatomic frequency scale)が確立したことがこのような蝸牛病変のグラフ図示化を可能にしたものといえる(次々ページの表1参照)。これらに関する詳しい論述はSchuknecht HF:Pathology of the Ear(2nd Edition,1993)3)に記載されてはいるものの,筆者の知る限りでは,本邦においてはこのような蝸牛グラフ再構成図法の実際や,cytocochleogram作成法に関する具体的な説明や記載は見当たらないようなので,以下にその概要を述べてみたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら