文献詳細
原著
眼窩尖端症候群を呈した副鼻腔真菌症の1例
著者: 福田宏治16 阿部俊彦1 小野寺毅2 小林正樹2 田口雅海3 金田裕治4 菅井有5 佐藤宏昭6
所属機関: 1八戸赤十字病院耳鼻咽喉科 2八戸赤十字病院眼科 3八戸赤十字病院放射線科 4かねた内科耳鼻咽喉科医院(八戸市) 5岩手医科大学臨床病理学教室 6岩手医科大学耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.877 - P.880
文献概要
副鼻腔真菌症は,日常診療においてたびたび遭遇する疾患であるが,ときに眼合併症や致死率の高い頭蓋内合併症などの重篤な合併症を伴うことがあり,的確な診断を行い,それに基づいて適切な対応を行うことが必要である。副鼻腔アスペルギルス症の眼窩内症状の発現頻度は4.3%で1),眼窩に浸潤したアスペルギルス症の眼窩尖端症候群をきたす頻度は2%と低く2),本邦における過去10年間で眼窩尖端症候群をきたしたという報告例は5例3~7)に過ぎず,比較的稀であるが,そのうち2例は頭蓋内浸潤が原因で死亡しており注意を要する疾患である。
今回われわれは,眼窩尖端症候群をきたした副鼻腔アスペルギルス症の1例を経験したので,臨床経過と若干の文献的考察を加え報告する。
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