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特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科の癌化学療法レジメン Ⅰ.口腔咽頭癌(扁平上皮癌)の化学療法
2.手術症例に対して
著者: 菅澤正1
所属機関: 1東京大学医学部耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.935 - P.939
文献購入ページに移動I.はじめに
頭頸部癌の治療の主体は現在でも手術,放射線治療であることは論をまたない。頭頸部領域は嚥下,構音などの日常機能を担っており,その治療に当たっては,機能維持,さらに整容的配慮も必要になってくる。化学療法は,機能,形態の温存の点では理想的治療法であるが,残念ながら頭頸部扁平上皮癌は化学療法に対して中等度感受性の癌腫であり,化学療法単独での治癒はほとんど得られず,現在でも手術,放射線治療の補助的役割が主体である。StageⅠ,Ⅱの早期癌であれば,手術あるいは放射線治療のみで機能温存,形態の維持は十分期待できることから,化学療法の介入する要素は少ない。集学的治療として,化学療法が治療成績向上に貢献が期待できるのはstageⅢ,Ⅳの進行癌である。このような進行癌に対して,機能維持を目的に近年超選択的動注療法が一次治療として積極的に行われ始めており,好成績の報告もあるが,その詳細は別稿に譲り,本稿では術前の全身的化学療法についてその目的と意義,現状について解説する。
頭頸部癌の治療の主体は現在でも手術,放射線治療であることは論をまたない。頭頸部領域は嚥下,構音などの日常機能を担っており,その治療に当たっては,機能維持,さらに整容的配慮も必要になってくる。化学療法は,機能,形態の温存の点では理想的治療法であるが,残念ながら頭頸部扁平上皮癌は化学療法に対して中等度感受性の癌腫であり,化学療法単独での治癒はほとんど得られず,現在でも手術,放射線治療の補助的役割が主体である。StageⅠ,Ⅱの早期癌であれば,手術あるいは放射線治療のみで機能温存,形態の維持は十分期待できることから,化学療法の介入する要素は少ない。集学的治療として,化学療法が治療成績向上に貢献が期待できるのはstageⅢ,Ⅳの進行癌である。このような進行癌に対して,機能維持を目的に近年超選択的動注療法が一次治療として積極的に行われ始めており,好成績の報告もあるが,その詳細は別稿に譲り,本稿では術前の全身的化学療法についてその目的と意義,現状について解説する。
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