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特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科の癌化学療法レジメン Ⅱ.頭頸部の扁平上皮癌以外の悪性腫瘍
1.腺系癌
著者: 藤井正人1
所属機関: 1独立行政法人東京医療センター耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.941 - P.945
文献購入ページに移動I.はじめに
頭頸部における腺系癌には粘表皮癌,腺様囊胞癌,腺癌や,稀なものとして腺房細胞癌などがある。それらの治療は,手術による完全摘出が第1選択とされる。しかし,完全摘出にもかかわらず,数年たって肺などに遠隔転移が高率に発生することが知られており,その頻度は腺様囊胞癌では40%,粘表皮癌では約10%,腺癌では約25%と報告されている1)。そこで,手術不能例や遠隔転移に対する有効な化学療法が必要とされ,現在まで様々な報告がある。しかし,各施設での症例が少ないこともあり,現在までにまとまった報告は少なく,比較試験によるはっきりとしたevidenceはない。一方で,近年タキサン系抗癌剤などの有用性が注目されており,今後,腺癌系の化学療法について報告が増加すると考えられる。
本稿では,粘表皮癌,腺様囊胞癌,腺癌について自験例も含めて最近の報告を検討して今後の展望につき述べる。
頭頸部における腺系癌には粘表皮癌,腺様囊胞癌,腺癌や,稀なものとして腺房細胞癌などがある。それらの治療は,手術による完全摘出が第1選択とされる。しかし,完全摘出にもかかわらず,数年たって肺などに遠隔転移が高率に発生することが知られており,その頻度は腺様囊胞癌では40%,粘表皮癌では約10%,腺癌では約25%と報告されている1)。そこで,手術不能例や遠隔転移に対する有効な化学療法が必要とされ,現在まで様々な報告がある。しかし,各施設での症例が少ないこともあり,現在までにまとまった報告は少なく,比較試験によるはっきりとしたevidenceはない。一方で,近年タキサン系抗癌剤などの有用性が注目されており,今後,腺癌系の化学療法について報告が増加すると考えられる。
本稿では,粘表皮癌,腺様囊胞癌,腺癌について自験例も含めて最近の報告を検討して今後の展望につき述べる。
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