文献詳細
特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科の癌化学療法レジメン
Ⅲ.臓器特異的なレジメン
文献概要
I.はじめに
一般に上咽頭癌は,上咽頭から発生する病理学的にWHO分類のⅠ~Ⅲ型(角化型扁平上皮癌,非角化癌,未分化癌)に相当する腫瘍を指す。したがって,極く稀に発生する腺癌などの病理型のものは本稿では除外する。また,疫学的には東南アジアが多発地帯で,上咽頭癌はほぼ全例近くにEpstein-Barrウイルスの関与が認められているユニークな腫瘍である。その臨床的特徴としては,他の頭頸部癌と比較して頸部リンパ節転移および遠隔転移の発生率が高いこと,放射線や抗腫瘍剤に対する感受性が高いこと,顔面の深部に位置するため手術的アプローチが困難であることなどが挙げられる。そのため,治療の中心は放射線となる。頭頸部扁平上皮癌一般において,放射線照射単独治療と比較して抗腫瘍剤の同時併用療法の有効性が認められるようになった。先に挙げた各種の特徴から,上咽頭癌は頭頸部癌とは似て非なるものと捉えられているが,放射線照射線量や化学療法レジメンはほぼ同様である。上咽頭癌は他の頭頸部癌と比較して遠隔転移の発生率が高く,その分,治療における化学療法の役割が大きい1)。
一般に上咽頭癌は,上咽頭から発生する病理学的にWHO分類のⅠ~Ⅲ型(角化型扁平上皮癌,非角化癌,未分化癌)に相当する腫瘍を指す。したがって,極く稀に発生する腺癌などの病理型のものは本稿では除外する。また,疫学的には東南アジアが多発地帯で,上咽頭癌はほぼ全例近くにEpstein-Barrウイルスの関与が認められているユニークな腫瘍である。その臨床的特徴としては,他の頭頸部癌と比較して頸部リンパ節転移および遠隔転移の発生率が高いこと,放射線や抗腫瘍剤に対する感受性が高いこと,顔面の深部に位置するため手術的アプローチが困難であることなどが挙げられる。そのため,治療の中心は放射線となる。頭頸部扁平上皮癌一般において,放射線照射単独治療と比較して抗腫瘍剤の同時併用療法の有効性が認められるようになった。先に挙げた各種の特徴から,上咽頭癌は頭頸部癌とは似て非なるものと捉えられているが,放射線照射線量や化学療法レジメンはほぼ同様である。上咽頭癌は他の頭頸部癌と比較して遠隔転移の発生率が高く,その分,治療における化学療法の役割が大きい1)。
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