文献詳細
原著
内耳障害が先行した再発性多発軟骨炎の1症例
著者: 樋口仁美1 坂田俊文1 菅村真由美1 加藤寿彦1
所属機関: 1福岡大学医学部耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.143 - P.147
文献概要
再発性多発性軟骨炎(relapsing polychondritis:以下RPと略)は,全身の軟骨組織および軟骨と共通した成分を含む組織が系統的に侵される原因不明の疾患である。軟骨組織にはコラーゲンが多く含まれているが,RPでは抗コラーゲン抗体が検出される例があること1,2),炎症部位に抗体,補体の沈着がみられること3),膠原病を合併する例があること4),一般に副腎皮質ホルモン剤が有用であることなどから,自己免疫性疾患という考えが支持されている5)。
再発性多発軟骨炎は,耳介軟骨,鼻軟骨,気道軟骨の炎症と変形,眼症状などを代表とする多彩な臨床症状を呈し,再発,寛解を繰り返し進行する。また,それぞれの症状発現時期が不定なので,本症の存在が念頭になければ診断に苦慮することも多い。
われわれは,初発症状としては比較的少ない内耳障害が先行した再発性多発軟骨炎の1症例を経験したので報告する。
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