文献詳細
特集 好酸球性中耳炎
5.好酸球性中耳炎の類似疾患―鑑別すべき疾患とそのポイント―
著者: 中村善久1 近藤雅幸2 松田太志3 宮本浩行4 村上信五4
所属機関: 1名古屋市立大学医学部耳鼻咽喉科学講座 2豊橋市民病院耳鼻咽喉科 3春日井市民病院耳鼻咽喉科 4さくら病院耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.198 - P.202
文献概要
好酸球性中耳炎は,気管支喘息に合併する難治性中耳炎として松谷ら1)により提唱された疾患であるが,ステロイド以外に有効な治療法がなく発症機序も不明であることから新たな難病として注目を集めている。典型的な症例では,非常に粘稠なニカワ状耳漏を分泌し,鼓膜は蒼白で肥厚していて,鼓膜穿孔から蒼白な肉芽が観察される。気管支喘息患者がこのような特徴をもつ中耳炎を発症し,耳漏中に好酸球が証明されれば好酸球性中耳炎と診断される。しかし,発症当初からこのような特徴が揃っている症例は少なく,耳閉感が主訴であることも手伝って滲出性中耳炎と誤診されていることが多い。特徴的な中耳炎が完成して正しく診断されるまでに数か月から数年を要することもある。さらに,Churg-Strauss症候群やWegener肉芽腫症では好酸球性中耳炎とよく似た中耳炎合併することがある。好酸球性中耳炎を正しく診断するためには,好酸球性中耳炎の自然経過をよく知り,Churg-Strauss症候群やWegener肉芽腫症に対する知識を深めることが重要である。
本稿では好酸球性中耳炎の類似疾患について解説し,鑑別のポイントを示す。
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