文献詳細
原著
当科におけるHIV感染者の検討
著者: 弓削忠1 田山二朗1 北野睦三1 田中好太郎1 熊谷譲1 中山久代1 石戸谷淳一2
所属機関: 1国立国際医療センター耳鼻咽喉科 2横浜市立大学医学部附属市民総合医療センター耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.210 - P.213
文献概要
日本国内におけるHIV感染者は,「厚生労働省エイズ動向委員会平成14年エイズ発生動向年報」によると,平成14年(2002年)9月現在4,982人と報告されており,着実に増加している。その一方,治療法は着実に進歩しており,重症例,死亡例は減ってきているのが最近の傾向である。耳鼻咽喉科へのHIV感染者外来数は,かつては稀なものとされていたが,HAART(highly active anti-retroviral therapy)導入以後,HIV感染者が耳鼻咽喉科一般外来を受診する症例が増えてきた1)。
当病院は,HIV訴訟において国が和解した際,薬害エイズ被害者救済の一環として1997年4月1日にエイズ治療研究開発センターを設立した経緯で,一般外来にHIV感染者が多数来院する。過去の日本におけるエイズ症例の報告を参考にして,最近の当科におけるHIV感染者の現状を述べ,今後,耳鼻咽喉科医がHIV感染者の治療にどのようにかかわっていくべきか考察する。
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