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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科76巻5号

2004年04月発行

特集 上気道アレルギーを診る

4.鼻アレルギーの治療 2)外科的治療―適応と術式

(4)鼻腔形態矯正術と後鼻神経手術

著者: 竹野幸夫1 小川知幸1 石野岳志1 夜陣紘治1

所属機関: 1広島大学大学院医歯薬総合研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科

ページ範囲:P.85 - P.89

文献概要

I.はじめに

 気管支喘息やアトピー性皮膚炎などの他のアトピー疾患と比較した場合,鼻アレルギーの臨床的特徴として挙げられるのは,1)局所の抗原抗体反応により惹起された肥満細胞の活性化などによるⅠ型アレルギー反応が主体である,2)アレルギーの原因となる特異的抗原が同定可能な場合が多い,3)鼻腔内でアレルギー反応が生じる場所がほぼきまっている=下鼻甲介,といった点である。この中で鼻アレルギーに対する手術療法はいうまでもなく,上記の3)の特色に着目して,アレルギー炎症の反応の場である下鼻甲介を手術的に処理する方法である。この期待される効果としては,1)鼻腔の形態異常を矯正するとともに,アレルギー反応の領域を縮小させ(下鼻甲介切除など),鼻腔の通気性を改善させる,2)粘膜表層のアレルギー反応の場を変性させ(CO2レーザー焼灼など),抗原抗体反応から連鎖的に生じる慢性のアレルギー炎症を生じにくくする,3)アレルギー反応を増幅する神経ネットワークを処理し(後鼻神経手術など),鼻アレルギーに伴う鼻過敏症状を軽減するなどの点が挙げられる。また,患者に対する手術侵襲の程度により,外来手術として施行可能なものと,入院して全身麻酔下に施行されるもの,とに分類可能である。前者の代表が炭酸ガスレーザーによる下鼻甲介表面粘膜焼灼術であり,後者の代表が後鼻神経手術(+粘膜下下鼻甲介切除術)といえる。いずれにしてもその手術適応の判断は,鼻アレルギーかどうかと,その重症度に関するしっかりとした診断が重要である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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