文献詳細
特集 上気道アレルギーを診る
5.鼻アレルギーと副鼻腔炎
3)アレルギー性真菌性副鼻腔炎の特徴
著者: 鈴木元彦1 中村善久1 大野伸晃1
所属機関: 1名古屋市立大学大学院医学研究科耳鼻神経感覚医学
ページ範囲:P.113 - P.118
文献概要
副鼻腔真菌症は,①acute or fulminant invasive fungal sinusitis,②chronic or indolent invasive fungal sinusitis,③mycetoma,④allergic fungal sinusitis(アレルギー性真菌性副鼻腔炎)に分類される。アレルギー性真菌性副鼻腔炎は最近新しく分類された疾患で,副鼻腔組織に著明な好酸球浸潤を認め(図1),真菌に対するアレルギー炎症がその病態と考えられている。病理組織学的特徴としてはallergic bronchopulmonaryAspergillosis(アレルギー性気管支肺アスペルギルス症)に非常に類似している。1976年,Safirstein1)は鼻内ポリープ,痂皮形成を認め副鼻腔内においてAspergilusを検出したアレルギー性気管支肺アスペルギルス症と類似した症例を初めて報告した。また1981年Millarら2)は,Aspergillus fumigatusに対する即時型反応を示し,またA. fumigatusによる慢性副鼻腔炎を引き起こした症例をallergicAspergillosisof the paranasal sinusesとして報告した。さらに1983年,Katzensteinら3)は副鼻腔内に好酸球,Charcot-Leyden結晶,真菌の菌糸を含むムチン(allergic mucin)が存在する副鼻腔炎を報告し,アレルギー性アスペルギルス副鼻腔炎(allergic Aspergillus sinusitis)と命名した。しかし,その後,これらの副鼻腔炎はアスペルギルス以外の真菌でも生じることが報告され,アレルギー性真菌性副鼻腔炎(allergic fungal sinusitis)と呼ばれるようになった4)。以後,アレルギー性真菌性副鼻腔炎については数多くの報告がされているが,いまだに不明なことが多い。
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