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文献概要
シリーズ 耳鼻咽喉科における日帰り手術・短期入院手術
⑤扁桃摘出術
著者: 野中聡1
所属機関: 1旭川医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室
ページ範囲:P.403 - P.407
文献購入ページに移動I.はじめに
近年,欧米諸国においては財政的あるいは医学的な理由から手術入院期間を短縮させる動きが盛んとなり,多くの予定手術が日帰り手術として計画されるようになってきている。わが国でも,医療費の削減と患者の日常生活からの逸脱をできる限り軽減させようとする目的から平均在院日数を減らす動きは本格化し,日帰り手術あるいは短期手術入院の実地臨床への導入が考慮されてきている。しかし,日帰り手術の実現については患者側および医療者側からいくつかの問題点が指摘されている。患者側からの問題点としては,帰宅後の合併症に対する患者の不安増加や術後ケアなど家族の負担増加などである。また,医療者側の観点からは,合併症を警戒して手術操作が消極的になり得る点や,若手医師への定型的手術の教育機会が減少する点などの問題がある。このような日帰り手術に関する問題点の多くは短期入院手術を実施することで解決されるため,短期入院手術の導入はわが国では,比較的スムーズに進行するであろうことは容易に予測される。このよう社会的状況の中,扁桃摘出術に対しても短期入院手術を導入しようとする動きが盛んである。
本稿では,口蓋扁桃摘出術の手術方法を概説するとともに,短期入院にするための要点も述べたい。
近年,欧米諸国においては財政的あるいは医学的な理由から手術入院期間を短縮させる動きが盛んとなり,多くの予定手術が日帰り手術として計画されるようになってきている。わが国でも,医療費の削減と患者の日常生活からの逸脱をできる限り軽減させようとする目的から平均在院日数を減らす動きは本格化し,日帰り手術あるいは短期手術入院の実地臨床への導入が考慮されてきている。しかし,日帰り手術の実現については患者側および医療者側からいくつかの問題点が指摘されている。患者側からの問題点としては,帰宅後の合併症に対する患者の不安増加や術後ケアなど家族の負担増加などである。また,医療者側の観点からは,合併症を警戒して手術操作が消極的になり得る点や,若手医師への定型的手術の教育機会が減少する点などの問題がある。このような日帰り手術に関する問題点の多くは短期入院手術を実施することで解決されるため,短期入院手術の導入はわが国では,比較的スムーズに進行するであろうことは容易に予測される。このよう社会的状況の中,扁桃摘出術に対しても短期入院手術を導入しようとする動きが盛んである。
本稿では,口蓋扁桃摘出術の手術方法を概説するとともに,短期入院にするための要点も述べたい。
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