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文献概要
シリーズ 耳鼻咽喉科における日帰り手術・短期入院手術
⑥音声外科手術
著者: 三枝英人1
所属機関: 1日本医科大学耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.487 - P.492
文献購入ページに移動I.はじめに
音声外科手術の目的は,単に例えば腫瘍や腫瘤を切除するとか,感染巣を除去するというような,いわゆる“病気を治す”治療ではない。種々の疾患により声が出ない,大声が出せない,高い声が出ない,声が続かないなどといった音声に対する要求や“障害”そのものを直接改善させることを目的とする。したがって,治療によって,さらに音声が劣化したり,その他の障害が出現するといった状況は許されない。また,当然,治療効果の確実性,治療の安全性,低侵襲性が要求される。このため,音声外科手術を行うに当たっては,患者の音声障害の病態生理をよく把握し,それについての治療の妥当性について,よく検討する必要がある。また,音声の改善を第1の目的とはするが,喉頭のもつより根源的な機能である気道としての機能や嚥下機能が障害されてはならないし,またこれらとの調和が十分保たれなくてはならない。日帰りや短期入院での手術治療においては,特に上記のことについて配慮がなされている必要がある。
本稿では音声外科手術を,主に喉頭内腔から声帯にアプローチする方法(喉頭微細手術など)と,外切開により喉頭の外方からアプローチする方法(喉頭枠組み手術など),注入術の3つに大きく分類して概説する。
音声外科手術の目的は,単に例えば腫瘍や腫瘤を切除するとか,感染巣を除去するというような,いわゆる“病気を治す”治療ではない。種々の疾患により声が出ない,大声が出せない,高い声が出ない,声が続かないなどといった音声に対する要求や“障害”そのものを直接改善させることを目的とする。したがって,治療によって,さらに音声が劣化したり,その他の障害が出現するといった状況は許されない。また,当然,治療効果の確実性,治療の安全性,低侵襲性が要求される。このため,音声外科手術を行うに当たっては,患者の音声障害の病態生理をよく把握し,それについての治療の妥当性について,よく検討する必要がある。また,音声の改善を第1の目的とはするが,喉頭のもつより根源的な機能である気道としての機能や嚥下機能が障害されてはならないし,またこれらとの調和が十分保たれなくてはならない。日帰りや短期入院での手術治療においては,特に上記のことについて配慮がなされている必要がある。
本稿では音声外科手術を,主に喉頭内腔から声帯にアプローチする方法(喉頭微細手術など)と,外切開により喉頭の外方からアプローチする方法(喉頭枠組み手術など),注入術の3つに大きく分類して概説する。
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