文献詳細
原著
多発性脳神経障害を呈したRamsay Hunt症候群の1例
著者: 干谷安彦1 平山裕次1 長谷川稔文1 雲井一夫1
所属機関: 1国立病院機構姫路医療センター耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.557 - P.560
文献概要
Ramsay Hunt症候群(以下,Hunt症候群と略)は水痘帯状疱疹ウイルス(varicella-zoster virus:以下VZVと略す)の再活性化に起因する外耳道や耳介周辺の帯状疱疹,同側の末梢性顔面神経麻痺と同側の内耳障害を3主徴とする症候群である。3主徴のいずれかを欠く不全型Hunt症候群がある一方,稀に第Ⅶ,Ⅷ脳神経以外の脳神経症状を呈することが知られており,その多くは下位脳神経障害である1~3)。
今回われわれは,右の第Ⅴ・Ⅶ・Ⅷ・Ⅸ・Ⅹ・XI・XII脳神経障害を呈したHunt症候群の1例を経験した。本症例のごとく多発性に脳神経障害を呈した症例は極めて珍しく,多発性脳神経障害を呈したHunt症候群の発生機序を考えるうえで示唆に富む症例と考えられたので,若干の文献的考察を加えて報告する。
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