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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科76巻9号

2004年08月発行

特集 頭頸部癌の治療指針―私たちはこうしている―

6.甲状腺癌頸部リンパ節転移症例の治療指針―郭清をどこまで行うか―

3)再発例からの検討

著者: 平野滋1 永原國彦1 北村守正1 森谷季吉1

所属機関: 1国立京都病院耳鼻咽喉科・気管食道科

ページ範囲:P.615 - P.619

文献概要

I.はじめに

 甲状腺癌の多くは分化癌であり,そのほとんどは乳頭癌である。その予後は極めて良好であり,10年累積生存率は90%を超える1)。甲状腺癌における頸部リンパ節転移の頻度は約40%(若年では60~90%との報告もある)と高率であるが,必ずしも予後を左右する因子とはならない1,2)。また,頸部リンパ節再発をきたしてもsalvage手術は可能なため,初回手術で徹底的な,あるいは予防的なリンパ節郭清は必要としないことが多い。しかし一方では,甲状腺分化癌では約30%が再発をきたし,そのうちの約10%は死亡するといわれている3,4)。したがって,頸部再発は間違いなく予後を悪くする兆候と考えられる。初回手術においては少なくとも郭清範囲内の頸部に再発をきたさないようにリンパ節郭清を行う必要があるし,頸部リンパ節再発をきたした場合には,適切なsalvageが必要である。

 本稿では,当科における甲状腺癌リンパ節再発症例を振り返り,初回手術時に留意すべき点,および再発した場合の対処について述べる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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