シリーズ 耳鼻咽喉科における日帰り手術・短期入院手術
⑬声帯ポリープ手術―局所麻酔下の内視鏡手術
著者:
大森孝一
,
野本美香
,
小川洋
,
多田靖宏
,
鈴木輝久
ページ範囲:P.75 - P.78
I.はじめに
声帯ポリープの手術は,従来は局所麻酔下に間接喉頭鏡で観察しながら行われていた。1960年代になって全身麻酔下に喉頭直達鏡を用いた喉頭微細手術が開発され,現在はほとんどの施設に普及しており,本邦では入院手術として行われている。米国や韓国では日帰り手術として行われることもあるが,これは全身麻酔前後の管理体制や医療保険制度の違いによるものと考えられる。一般に,全身麻酔下の喉頭直達鏡手術は安定した術野が得られる利点があるものの,局所麻酔下手術に比べると,患者の時間的,経済的,肉体的負担が大きい。
近年,内視鏡の発達により喉頭の良好な術野が得られるようになり,1991年に筆者ら1)は低侵襲で行える局所麻酔下の喉頭内視鏡手術を報告した。1996年以降は電子内視鏡を用いて行っており,全身麻酔下の喉頭直達鏡手術と同等の音声改善が得られている2)。現在はストロボスコープ対応の単板カラーチップ同時式の電子内視鏡を用いている。当科においては,原則的に声帯ポリープに対してはデイ・サージャリーとして手術室を使用し,局所麻酔下の喉頭内視鏡手術を行っている。
本稿では耳鼻咽喉科における日帰り手術として局所麻酔下の声帯ポリープ切除術を紹介する。