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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科77巻10号

2005年09月発行

文献概要

特集 嗄声の診断と治療

3.声帯麻痺

著者: 久育男1

所属機関: 1京都府立医科大学耳鼻咽喉科学教室

ページ範囲:P.717 - P.721

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Ⅰ.はじめに

 声帯の運動障害の診断,治療に関する解説はすでに,多くなされている。本稿では,教科書的にすべてを万遍なく記述するのではなく,診断,治療における実際的な重要点に絞って解説したい。
Ⅱ.声帯麻痺,反回神経麻痺,喉頭麻痺?

 神経原性の声帯運動障害を表す用語としては,声帯麻痺(vocal fold paralysis),反回神経麻痺(recurrent laryngeal nerve paralysis),そして喉頭麻痺(laryngeal paralysis)がある。

 神経原性の声帯運動障害には,反回神経麻痺だけではなく,迷走神経麻痺や中枢性障害も含まれるため,反回神経麻痺は神経原性の声帯運動障害の総称として適切ではないと考えられる。ただ,反回神経麻痺という用語をすべて否定するのではない。甲状腺癌の手術で反回神経を切断した場合のように,反回神経の障害が明らかな症例では反回神経麻痺としたほうがより理解しやすいと思われる。

 喉頭の運動というのは,声帯運動とは異なり喉頭の上下運動を指すべきだと最近考えるようになった。この点を考慮すると,声帯の運動障害に対して喉頭麻痺という用語を用いるのには無理がある。そこで,声帯麻痺という用語を用いるべきではないかと考えている1)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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