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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科77巻11号

2005年10月発行

特集 副鼻腔炎

4.副鼻腔炎の保存的治療

著者: 川内秀之1

所属機関: 1島根大学医学部耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.811 - P.815

文献概要

Ⅰ.副鼻腔炎の定義と病態

 副鼻腔炎は,発症の時期・症状・病態の違いにより,急性副鼻腔炎と慢性副鼻腔炎に区別されている。急性副鼻腔炎は,通常,ウイルスや細菌の感染による急性上気道炎に続発する副鼻腔の急性炎症である(4週間以内の経過)。慢性副鼻腔炎は,急性副鼻腔炎の治癒過程が遷延化して慢性炎症に移行したものである(3か月以上の経過)。その要因には,急性炎症の反復のほかに,副鼻腔自然口の状態,鼻中隔彎曲,鼻甲介粘膜腫脹,齲歯など歯牙との関連など局所解剖学的条件や,アレルギー性炎症の関与などの要因が複雑に絡んで,慢性化するものと理解されている。

 一方,鼻副鼻腔粘膜は,外界からの異物侵入の最初の門戸であり,細菌やウイルスといった微生物やアレルゲンなど種々の抗原刺激にさらされていると同時に,生体における異物排除のための第一の防御線として,種々の非特異的,あるいは特異的防御機構を有している。非特異的防御機構のなかで,線毛運動輸送機能と貪食細胞による異物排除は重要なものであり,下気道である気管・気管支粘膜だけでなく,鼻副鼻腔粘膜にもこうした線毛運動輸送機能が備わっていることはすでに周知のとおりである。さらにマクロファージや好中球は,炎症局所に動員されscavenger cellとして異物排除にあたっているが,オプソニン作用を有する補体や特異抗体を介して効率的な排除を行っている。一方,特異的防御機構として働く免疫応答は,外界から侵入する種々の異物を抗原ペプチドとして極めて巧妙に認識し,抗原特異的な反応を誘導しその応答を効率的に行い,上気道の恒常性を維持している。そのなかには,人間の体表面での防御において重要な役割を演じている分泌型IgAを中心とした粘膜免疫と,循環血液中を中心としてIgGやIgMなどの液性抗体が各組織に移行していく液性免疫,さらに細胞性免疫がある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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