文献詳細
原著
苛性ソーダによる咽喉頭化学熱傷の2症例
著者: 中山雅博1 田渕経司2 瀬成田雅光3 村下秀和1 辻茂希2 高橋和彦2 和田哲郎2 湯沢賢治4 原晃2
所属機関: 1筑波大学医学部耳鼻咽喉科 2筑波大学大学院人間総合科学研究科(医学)・耳鼻咽喉科 3独立行政法人国立病院機構水戸医療センター耳鼻咽喉科 4筑波大学大学院人間総合科学研究科(医学)・消化器外科
ページ範囲:P.851 - P.853
文献概要
化学薬品による熱傷は化学熱傷と呼ばれ,一般的な熱傷とは異なった臨床症状や経過を呈する。アルカリ・酸などの組織障害性の強い薬剤の服用は,自殺企図や誤飲によるものがほとんどであり,ことにアルカリによる腐食性損傷は保存的に軽快する症例もあるが,瘢痕狭窄による重度の通過障害を呈する症例も認められる1)。今回,われわれは,自殺企図にて苛性ソーダを服用し,咽喉頭より食道,胃まで及ぶ広範な瘢痕狭窄を認めた1例と,苛性ソーダ誤飲による一過性の喉頭浮腫をきたした1例を経験したので,それぞれの咽喉頭所見を呈示し,文献的考察を加え報告する。
掲載誌情報