耳鼻咽喉科・頭頸部外科77巻12号

2005年11月発行

シリーズ 難治性疾患への対応

⑩口内炎

著者： 山本祐三¹

所属機関： ¹耳鼻咽喉科・アレルギー科山本医院

ページ範囲：P.949 - P.952

Ⅰ　はじめに

　口内炎とは口腔に生じる炎症の総称で，きわめて多くの疾患が含まれる。そのなかには，問診や口腔の特徴的な肉眼的所見から診断が比較的容易であったり，また小児ウイルス感染症や皮膚科的，内科的全身疾患などの部分症として口内病変を捉えることにより確定診断が可能となり，適切な治療を行えば治癒する疾患も多く含まれる。一方，肉眼的には非特異的な潰瘍所見を呈するだけで，生検を行っても診断が確定せず，治療にも抵抗する疾患が存在する。後者は，現時点では原因不明の難治性口腔咽頭潰瘍と呼ばれる。本稿では，難治性口腔咽頭潰瘍と，その鑑別診断のなかで最も類縁と考えられるBehçet病について論説する。