文献詳細
原著
多発脳神経麻痺をきたした副鼻腔由来深部真菌感染の1症例
著者: 藤城芳徳1 千原康裕1 中西わか子1 深谷卓1
所属機関: 1NTT東日本関東病院耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.479 - P.483
文献概要
近年,副鼻腔真菌症の報告例は増加傾向にある。その原因としてステロイドや抗菌薬の頻用,基礎疾患による免疫力の低下などが指摘されている1,2)。その菌種としてはアスペルギルスが最も多く,ほとんどの症例では鼻腔・副鼻腔に限局する寄生型に分類されるが3),稀に破壊性に進展する侵襲型の経過をたどることがある。
今回われわれは,副鼻腔から頭蓋底に広範囲に浸潤し多発脳神経麻痺をきたし,(1-3)-β-D-glucan測定が診断に有用であった侵襲型アスペルギルス症例を経験したので報告する。
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