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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科77巻8号

2005年07月発行

文献概要

原著

Enterobacter cloacaeが起炎菌と考えられた高齢者再発深頸部膿瘍の1例

著者: 得居直公12 宇高毅1 塩盛輝夫1 大淵豊明1 坂部亜希子1 平木信明1 鈴木秀明1

所属機関: 1産業医科大学医学部耳鼻咽喉科学教室 2町立芦屋中央病院耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.585 - P.588

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I.はじめに

 近年の抗菌薬の普及と発達により感染症が重症化する頻度は減少傾向にあるものの,逆に新しいタイプの難治性感染症の発生はあとをたたないのが現状である。感染症難治化の要因として,宿主側では易感染者の増加が挙げられ,細菌側としては,細菌の変異,菌交代現象などが挙げられる。なかでも加齢化に伴って発生する日和見感染症は,今後さらに増加の一途をたどることが予想されるため注意を要する。

 今回われわれは,日和見感染症の原因菌の一菌種であるEnterobacter cloacae(E. cloacae)が起炎菌と考えられた高齢者再発深頸部膿瘍を経験したので,本症例の病態について考察するとともに,若干の文献的考察を加え検討したので報告する。

参考文献

1)伊藤博隆・他:高齢者の薬物療法の一般的注意―高齢者の抗菌薬の使用について.耳喉頭頸70(増刊号):169-172,1998
2)馬場駿吉:治療の原則.CLINET 21.感染症,馬場駿吉(編).中山書店,東京,2000,153-154
3)斉藤征夫:加齢と免疫能.JOHNS 15:1035-1038,1999
4)鈴木幹三:高齢者の感染症とその対策.JOHNS 16:1861-1863,2000
5)石原 博:外科領域におけるEnterobacter cloacaeの臨床的意義についての研究―特に複数菌感染症における問題点.名市大医誌43:1215-1228,1992
6)Tateda K, et al:Suppressive effect of clindamycin on development of beta-lactam resistance in Enterobacter cloacae ATCC 23355. J Antimicrob Chemother 34:281-286, 1994
7)Levitt GW:The surgical treatment of deep neck infection. Laryngoscope 81:403-411, 1971

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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